“ニホンジカの処理頭数日本一”の地域発、獣害を考えるアート作品 「LIFETERIOR」喜多村雄真


喜多村さん01

喜多村雄真

京都府出身。2013年より地域おこし協力隊として岡山県美作(みまさか)市東粟倉に移住。2015年より「自然の迫力で暮らしを彩るプロダクト」をコンセプトにした鹿のスカル(頭骨)や角を使ったアート作品ブランド「LIFETERIOR」を立ち上げ、全国のイベントやマルシェに出店している。

“自分の好きなこと×地域おこし”

 

—鹿のスカル(頭骨)を使ったアート作品は大変珍しいですね。なぜスカルを使おうと思ったのですか。

 

喜多村 僕が地域おこし協力隊として移住してきた岡山県美作市は、ニホンジカの処理頭数が日本一で、2014年には獣害による農業被害額は5000万円にもなりました。地域の方の間で「この間どこどこで鹿が捕れた」というのが挨拶代わりになっているくらい、鹿がたくさんいる地域なんです。

そんなとき、たまたま地域の方に「刀掛けじゃ売れないから」とスカルをゆずってもらう機会がありました。そのままずっと手をつけずに自宅に置いていたのですが、地域おこし協力隊として活動をどう展開するかについて一時期悩んでいたときに目に留まったのがそのスカルでした。幼い頃から絵を描くことが好きだったので、思いつきでスカルに絵を描いたのが最初です。それをFacebookに載せたらすごく好評で。その経験から、自分の好きなことと地域おこしを組み合わせたら面白いことができるかもしれないと思い、現在に至ります。

 

展示

 

喜多村 捕れた鹿はもちろん目や毛がついている状態なので、地域の方に5日間ほどじっくり煮込んでもらって綺麗な状態にした後、ひとつ一つのスカルとじっくり対面しながら、ゆっくり時間をかけて絵の具で模様を描いていきます。

 

—!? とても細かい柄ですが、下書きはしていないんですか?

 

喜多村 はい。もともと絵画より柄を描くことが好きだったので、そのとき頭の中に浮かんだ柄を描いています。

 

—作品制作をするという喜多村さん流の地域おこしについて、地域の方の反応はいかがでしょうか。

 

喜多村 活動をメディアに取り上げてもらったり、石破茂地方創生担当大臣に作品を手にとって見てもらう機会があったりと少しずつですが注目されるようになり、メディアを通して地域の方が僕の活動を知ってくれて「頑張れ」と声をかけてくれます。

大臣

20156月に石破大臣が美作市に来訪。喜多村さんの作品に大変興味を持たれていたとか。

 

“作品を通して地域の獣害を知る”

 

—東京や関西にも出店されていますが、鹿に馴染みのない地域にお住まいの方は喜多村さんの作品を見て驚かれるのではないでしょうか。

 

喜多村 スカルは命の象徴なので、作品を見てくれた人の中には「なんてことをしているんだ」と感じる人もいると思います。そのような人にも、作品を通して「なぜ鹿は駆除される状況にあるのか」という問いが生まれたら面白いなと思います。その問いはきっとその人の暮らしの根本に繋がると思うんですよ。鹿の肉はジビエレストランが、皮はそれを利用した作品づくりをする作家さんが……と鹿の活用法は増えていますが、それでもまだ捨てざるを得ない部分を何とか利用しようとする取り組みであることを伝えていきたいです。

 

空

喜多村さんが住んでいる、岡山県の最東端に位置する美作市東粟倉の景色。

 

—地域おこし協力隊の任期は残り9ヶ月とのことですが、任期終了後は。

 

喜多村 スカルを使った作品づくりを始めたのが今年(2015年)で、今ようやく動き出したところなので、残りの期間にどこまで動きをかけられるかで今後の方向性が変わりますね。生活する場として田舎はとても良いと感じており、地域でつくったものを都市部に発信していくライフスタイルをつくることができたらと考えています。景色も空気も最高なのでぜひ美作にも足を運んでいただきたいです。

 

LIFETERIOR

https://www.facebook.com/lifeterior?fref=ts

 

(テキスト:川上ひろ子)


2015-06-24 | Posted in インタビューComments Closed 

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