京都から農山村の活性化を目指す—いのちの里京都村 林利栄子・シカナイさん


林さん01

林利栄子

京都府出身。2013年よりNPO法人いのちの里京都村の事務局長を務める。同年に狩猟免許を取得し、狩猟期には週に一度のペースで狩りをしている。2016年より市内の有害駆除隊に入隊予定。

京都から農山村を応援するNPO法人「いのちの里京都村」の事務局長の林さんには、出町市場Um!当日に同NPOのキャラクターである「シカナイさん」と一緒にイベントを盛り上げていただきます。一時はオファーが絶えないほど大人気のシカナイさんの誕生秘話、そして林さんが2013年から始めたという狩猟についてお話を伺いました。

 

“農山村の活性化を目的とした団体に寄付ができる「京都村マーク」をPRするのがシカナイさんの役目”

 

—林さんが事務局長を務めるNPO法人「いのちの里京都村」について教えてください。

 

林 安心安全な食材や水、おいしい空気を運んでくれる農山村は生きていく上で欠かせない存在であるため、私たちは「いのちの里」と呼んでいます。そのいのちの里が過疎、高齢化、後継者不足など様々な問題から衰退している現状を守っていく、さらに京都から全国の農山村を活性化させていきたいという思いから2012年に法人化されたNPOです。現在は京都府農林水産部農村振興課と二人三脚で都市農村交流がビジネスとして成立する事業をつくるコーディネーターのような仕事をしています。

 

—出町市場Um!に登場してもらういのちの里京都村のキャラクター「シカナイさん」はどのような経緯で誕生したのですか。

 

林 私たちの活動で「京都村マーク」というものがあります。このマークは対象の商品やツアーに参加することで、農山村の活性化を目的とした活動に売上の一部を寄付できるというもの。これの普及に向け、キャラクターを一般公募して生まれたのがシカナイさんです。

林さん02

林 シカナイさんは、いのちの里京都村の鹿肉を使用した食品の販売や、物産展、環境関連の企業のお手伝い、地域のお祭りなどに参加させていただいています。

 

—企業や市町村がキャラクターを使ったPRをするというのはよくありますが、NPO法人ではあまりない手法ですね。

 

林 確かにそうですね。お邪魔させてもらう地域の方にもシカナイさんの認知度は上がっていて、「シカナイさんに来てほしい」とオファーをもらうことも増えました。また、イベントの際などにシカナイさんがいてくれるお陰でお客さんが私たちの活動に興味を持ってくれるようになりました。

 

林さん03

2015年春にイオン洛南店で行われた「京都丹後食のうまいもんフェア」にて、丹後地方の食材をPRするシカナイさん。

 

“社会問題である鹿。そのお肉を売る立場だから、狩猟の世界を知っておきたい。”

 

—林さんがいのちの里京都村に入ったきっかけは。

 

林 大学卒業後に大阪で保険の営業をしていたのですが、お客さんと仲良くなりすぎた故に情が移ってしまい、本来の目的である商品を売ることに対して罪悪感が残るようになってしまいました。長い人生の間でいちばん輝くはずの時期に「仕事したくないな」と思うのはもったいない、もっと人にかかわる仕事がしてみたい!と思うようになりました。ちょうどその頃にいのちの里京都村の理事に出会い、転職を決めました。この仕事に就いてもう3年目になりますね。

 

—狩猟免許を取得したのも、いのちの里京都村に加入してからだとか。なぜ取ろうと思ったのですか。

 

林 いのちの里京都村の食品「京都もみじ(鹿まん)」を販売していたとき、お客さんの子どもに「鹿を食べるのは可哀想」言われて。その子にとって牛や豚は普通に食べられるけど、鹿は特別だったんですね。でも、私はその子に「可哀想なことじゃないよ」って説明もできず……、自分には食肉の教育が足りないって思ったんです。社会で問題になっている鹿の肉を売る立場なら、しっかり知っておかないと自信を持って売れなくなっちゃう。また、京都市に生まれ育ったので農山村に関する知識がなかったんです。かと言って農山村に移住することはできないし……、と考えていたときにたまたま猟師さんと知り合いました。狩猟免許さえ取れば市内に住みながらできるので、「猟師になればええやん!」と思ったのがきっかけです。

 

林 もう一つの理由は、NPO法人の職員は博識な人が多く、いのちの里京都村の理事もメディアによく出ていました。そんな人たちと比べて自分は何も持ってないと感じ、「私もハクをつけないと!」と思ったから。当時は女性猟師が珍しかったので、猟師しかない!と。その年中に「個人で新聞に取り上げられる」を目標にしたら、12月28日に載りました。ギリギリで目標達成できました(笑)。

林さん04

林 狩猟を始めてから、自信を持って京都もみじを販売することができるようになりました。なぜこのような調理がされているだとか、ちゃんと自分の言葉でお客さんに説明できるようになったんです。以前は鹿肉なんて見向きもしてくれなかったけど、ここ2年でジビエが盛り上がりを見せ、1回のイベントで京都もみじが200個も売れたこともありました。びっくりするほど状況が変わりましたね。

 

—しかし、鹿肉は一般に受け入れられているとはまだ言いがたいですよね。

 

林 はい。京都でも牛や豚肉のように鹿肉がスーパーに置かれるようになったらいいですね。また、鹿肉はカロリーが低かったり鉄分が豊富だったりするので、健康食として認識してもらえたら。お肉を食べたいけどカロリーは取り過ぎたくない人や、貧血気味の人の選択肢のひとつになれば一番いいと思っています。そうなるまでに大事なのはやっぱり安全面。現在、少しずつではありますが食肉加工のガイドラインが作成されている都道府県も増えてきており、それが全国各地にひろまっていけば鹿肉に対する人の目を変えてくれるのではないでしょうか。

 

いのちの里京都村

http://kyotomura.jp/

 

 


2015-06-10 | Posted in インタビューComments Closed 

関連記事