「花背が注目されるようなジュエリーを」―花背WARA 藤井桃子


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藤井桃子

京都市左京区花背出身。京都市立芸術大学美術学部美術科版画専攻卒業。2010年より地元花背のお年寄りの方にわら細工を習い始め、2013年「花背WARA」をスタートする。わらの温かみや美しさを今の生活に取り入れていれ、わらの可能性を広げるため、WARAアクセサリーなどを制作発表。わら細工伝道師。WARAジュエリー作家。

 

“わらの可能性を感じて”

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Shimenawa Pearl Brooch

 

-わらを使ったアクセサリーはとても珍しいですが、なぜわらに着目されたのですか?

藤井 とても自然な成り行きなのですが、私がわら細工をやりだしたのが2010年で、ちょうど京都市立芸術大学に入学して間もないときでした。その頃はまだ何がしたいのかわかっていなくて、高校生のときからやっていた油絵をやろうかとか、とりあえず色々な技術を身につけようかとか、あれこれ考えていました。

そんなときに、「花背のお年寄りの中には以前はわら細工を作る方が大勢いたけど、現在では数名しかいない」と母がぽろっとそうこぼしていて、せっかく私は美術を学んでいるのだから、地元で技術を学んで他の表現に生かせればプラスになりそうだと、ふと思ったのがきっかけです。そこまでわらに興味があったわけではなくて、地元の問題としてあったから、というのが正直なところです。

わらを触り始めて最初は鍋敷きなどをつくっていたのですが、地元の方に習い始めてすぐアクセサリーにすることを思いつきました。わらが編み込まれている造形美に感動して、身につけたら面白そうと直感で思ったのがきっかけです。ファッションやアクセサリーはもともと好きだったので、想像するだけでわらの可能性が広がっていくのを感じました。

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Fish1 Brooch

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Shizuku Pearl Pierce

 

—大学では木版画を専攻されたとのことですが、花背WARAの創作に活かされていますか?

藤井 今のところ、技術の習得と作品作りでいっぱいいっぱいになっていて活かせていませんが、版画とわらを組み合わせる構想はあります。展示する際の紙にこだわっているのは、版画に関係しているのかもしれません。大学ではもちろんたくさんのことを学びましたが、それと同じくらい地域の方を先生としてわら細工を習ってきました。

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“わら細工のイメージを覆したい”

-このアクセサリーをどんな方に身につけてもらいたいですか?

藤井 優柔不断に聞こえてしまうかもしれませんが、若者からお年寄りまで幅広く身に付けていただければと思っています。これが不思議と誰でも合うんです。もちろんどんな服装に合わせたら良いというのはあるので、それは想像しながらつくっています。わらという和の素材を使っているので、帯留めや髪留め、かんざしなど、着物に使えるアクセサリーもつくっています。他にもピアスやイヤリングを着物に合わせてもしっくりきます。

実は、小さいころやわら細工を習い始める前はわらに対して古臭いイメージを持っていました。生活のために仕方なくつくるものに見えたから。今は便利な生活用品がたくさんあって、わら細工が日常に必要ないので需要が減っています。だから、もっと身近に日常に取り入れられる方向を探っていきたい。そのために、幅広い層の方々に手に取っていただけるように考えています。

—ロゴに『花背』と地名を入れているのも、藤井さんが花背を大切にしているからなんですね。

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花背WARAのロゴマーク

藤井 生まれも育ちも花背なので。私の家は花背のとても奥深い場所にあって、送ってもらわないと自分では出て来られないくらいです。今も住んでいるのですが、花背のわらでつくることに意味があると思っているので、出て行く気はぜんぜん無いんです。花背はいいところがいっぱいあるんです。いろんな特産品や文化があって、山椒の煮付けがとても美味しい。今は人が減っていて、私の同級生もみんな外に住んでいます。自分のつくるアクセサリーが花背に注目してもらえるきっかけになればと思っています。

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花背地域での稲作風景。稲架掛けしてわらを確保する。

 

“花背でつくっているということに価値がある”

-このアクセサリーはどういう位置付けで制作されているのですか?

藤井 このアクセサリーは、コンテンポラリージュエリー(※)として制作しています。民芸品であるわら細工と同じ工程と素材で作っていますが、アートを学んだ自分にしかつくれないものだと思っています。価格は決して安くありませんが、素材の調達が年々難しくなり、一点一点が貴重な宝物です。花背はインターネット環境が良くなくて、私の家は未だにダイヤルアップ接続をしています。PCをつかう仕事は街に出てこないとできないんです。そんな場所でつくっているということが作品の価値につながっていると思います。

コンテンポラリージュエリーとは、従来のジュエリーのイメージ(素材、マーケティング、フォルムなど)に縛られることのない自由な立体造形であり、作品制作を一人の作家が一貫して行うため作品の背後に作者の強いコンセプトが込められているジュエリーのことを指す。

 

一緒につくっていく”

-今後の活動はどのように考えていますか?

藤井 今までよりも動きまわりたいですね。具体的には現在わら細工をされているおじいさんおばあさんからもっと技術を習得したいです。それと同時に、自分の作品のクオリティを上げたい。そして色々な方に知ってもらうために、ヨーロッパに進出していきたいですね。夢はパリコレです(笑)。

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Budou

技術的な話しをすると、網羅的に習得しているわけではなく、まだ勉強している途中なんです。ジュエリーのラインを主に発信していますが、実はしめ縄やわら草履も制作しています。地元の人と一緒につくっていく。そういうのも含めて花背WARAなんです。

京都のお祭でつかう草鞋の受注なども受けていて、そのような昔からあって、ある程度まとまった量を必要とするものの依頼があったときに、将来的に技術を持った人が私一人ではつくりきれないから、協力者を増やしていきたいと思っています。ものづくりが好きで、草鞋やしめ縄などに興味がある人がいたら喜んで教えます。最終的には花背の産業につながっていくようにしたいと考えています。

 

花背WARA

web:http://www.hanasewara.com/

mail:momoko.fujii333@gmail.com

 

■出町市場Um!「おいしいブローチ」@Deまち

7月25日(土)〜26日(日)10:00〜17:00

URL:http://ichiba.napoletano-kyoto.com/

 

(テキスト:西馬晋也)


2015-07-06 | Posted in インタビューComments Closed 

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