純粋な「やってみたい!」気持ちが集まって―大見新村プロジェクト かり部


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大見新村プロジェクト かり部

(写真左より、山口純、松崎篤洋、久保芽以、新開麻未、河本順子)

2012年に発足した大見新村プロジェクトは、約40年前に無住集落となった京都市左京区大原大見町で豊かな自然環境を活かし、地域活動に取り組む人材育成や農村での新しい暮らし方の提案などを行っている。プロジェクト内には複数の「部」や「班」があり、かり部もその中のひとつ。2013年に発足し、現在のところメンバーは8人で最高齢の方はなんと80代。

6月のとある日の晩、京都市東山区にある長屋を改修したコミュニティスペース「本町エスコーラ」に集まった、年齢も性別もばらばらな5人。机の上には、鹿の巨大ななめし皮! 彼らは大見新村プロジェクト内のひとつの部、その名も「かり部」のメンバーなのだとか。とっても気になるその実態を突撃取材しました。

 

“かり部という名前ですが、実は……”

 

―活動内容についてお伺いします。「かり部」ということなので、狩りをされていると思うのですが……。

 

山口 いや、してないですよ(笑)。

 

―えっ!? 狩りをしない「かり部」なのですか?

 

山口 狩りを「そのうちやりたい」と集まったメンバーなんです。狩猟免許についても、僕と河本さんは持っているんですけど、去年取得したばかりで。

 

河本 大見新村プロジェクトのひとつの特徴として、メンバーがみんな「素人」だということがあって、それぞれが「やってみたい」と思ったことに挑戦しているんです。かり部も、メンバーみんな狩りなんてやったことないんだけど、「やりたい!」でつくって「やりたい!」で狩猟免許を取っちゃった、という感じです。

 

「人間と動物との関係はどうあるべきか」「面白そうな人がいる」「生活を一から始めるという経験」―それぞれのきっかけ

 

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―山口さんは、どのような経緯で大見新村プロジェクトに参加し、かり部を立ち上げられたのですか?

 

山口 僕は、大学で建築の設計方法論の研究をしているのですが、そのなかでそもそも人がモノをつくるとはどういうことかに興味を持つようになりました。そこで人間が最初につくったモノのひとつである革を実際につくってみようと思ったんです。それから、僕は革で靴をつくっているのですが、狩りをしてその材料にしたいというのもありました。

皮をなめすための場所を探す過程で大見新村プロジェクトに関わるようになり、「かり部」を立ち上げました。

 

―なるほど。他のみなさんは、どのようなきっかけで参加されたのですか?

 

松崎 僕は建築を勉強しているんですが、大見新村プロジェクトにも建築関係の方がいて、面白そうな人だったので来てみた、というのが始まりですね。

久保 私はこのプロジェクトのホームページを見て、「よっしゃ行こう!」って思って(笑)。

新開 私は元々食肉センターなどに興味を持っていたのがきっかけですが、生活を一から始めるということを経験できるというのが面白いなと思って参加しました。

河本 私はこのプロジェクトの第1回ミーティングに誘われたのがきっかけ。

 

―かり部は、普段はどのようなことをされているのですか?

 

山口 今は他の方が捕られた皮を使って製品をつくったり、皮なめしのワークショップなどをやったりしています。去年は左京ワンダーランド(京都市左京区を中心に80店舗が参加して行われている、スタンプラリー、マーケット、パーティ、演劇などのイベント)に出店したりもしました。

 

河本 作品づくりは町中でもできますが、皮をなめしたりは大見村で行っています。大見村は、猟をしたりそれを加工したりといった作業を行う環境がすごく整っていると感じます。

 

―大見村では、やはり獣害が問題になっているのでしょうか?

 

山口 そうですね。僕も、人間と動物(生き物)との関係というのはどうあるべきかという観点から、獣害問題には関心があります。

 

“自分たちの手でつくる、というこだわり”

 

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―このなめし皮、すごいですね。この状態にするまでにどれくらいかかるのですか?

 

山口 柔らかくするために全部手で揉むという方法をとっているので、すごく時間がかかります。ここまでに2週間ぐらい。石鹸に浸けてから揉んで燻すという、日本ではあまり知られていない方法を使っています。

 

河本 実際に自分たちでやってみると、革製品をつくることがいかに大変か実感できますね。すごい手間と労力です。でも、できあがったものにはやはり愛着が湧きますね。

 

―出町市場Um!には革のカードケースなどをご出品いただけるとのことですが、これもみなさんでつくられているのですか?

 

山口 それを今からみんなでつくります!

 

―そうなのですね! 楽しみにしています。

 

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こちらが、取材の後みなさんでつくられたというカードケース。他にも、当日は皮なめしテキストや鹿革の展示なども予定されているとのこと!

 

大見新村プロジェクトHP http://oomi-shinson.net/

(テキスト:日下千夏)


2015-06-22 | Posted in インタビューComments Closed 

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