出勤前に狩猟!? 生活にあったスタイルで無理のない狩り生活を—OKU京都ねっと菊地篤


01菊地さん

菊地篤

高知県出身。現在は京都市左京区広河原地域に在住。京都府職員。左京区の別所、花背、広河原地域の有志による団体「OKU京都ねっと」のメンバーの一員として、農山村と都市を繋ぐ活動をしている。

公務員でありながら、京都市の別所、花背、広河原地域に住む有志による地域活性化団体「OKU京都ねっと」のメンバーである菊地さん。団体の活動や、毎朝出勤前に罠猟!?……気になる菊地さん流の狩猟ライフをインタビューしました。

 

※鹿の解体作業をしているお写真を掲載しております。苦手な方はご注意ください。

 

“都市の若者と京都の農山村を繋ぐOKU京都ねっと”

菊地さん02

—OKU京都ねっとはどのような団体ですか。

 

菊地 京都市左京区の花脊峠から北にある、別所、花背、広河原地域に住む有志によって2013年にできた団体です。代表は花背育ち、僕もIターンで、それぞれ地域にゆかりのあるメンバーが集まっています。メンバーと同世代の若者が地域にやってくる機会をつくることが目的で、移住への入り口づくりをしています。

 

—具体的にはどのような活動をしているのですか。

 

菊地 いちばん大きな活動としては、ずっと耕されていない畑の一部を使っての蕎麦栽培があります。全部手作業で脱穀、蕎麦打ちまでしています。他には昔ながらの醤油や味噌づくりのワークショップや、イベントへの出店、地域を知ってもらうフリーペーパーの制作などをしています。

 

菊地さん03

 

—出町市場Um!にご出店いただく山の恵みの果実酒やジュースもOKU京都ねっとの皆さんが試行錯誤してつくられたものなんですよね。

 

菊地 はい。人気商品は「さんしょスカッシュ」。メンバーに有名な料亭の料理人として修行している方の奥さんがいるのですが、旦那さんのノウハウを活用してつくられたものです。サンショって粉で使用するイメージがあると思いますが、実はサンショの木の皮、葉っぱも食用なんです。それぞれの部分はピリッと辛くて、ここでしか飲めない味です。

 

菊地さん04

OKU京都ねっとが地域を知ってもらうために発行しているフリーペーパー「OKU京都の暮らし」。別所、花背、広河原のほか、京都市内でも配布している。

 

—今後どのような活動をしていきたいと考えていますか。

菊地 これまでメンバーが住んでいる地域でのイベントに出店することが多かったのですが、今回の出町市場Um!の出店のように、これからは外に出て色んな方に私たちの活動を知ってもらうことが大切だと感じ、代表と「今年は出て行く年にしよう!」と話しています。これからは、地域にたくさんある空き家を改築していったりしたいですね。しかし、あんまり急ぎ過ぎずに、継続することが大切だと考えています。長く続けていくことで、できる範囲も広がっていきますからね。

 

菊地さん05

OKUねっと京都が主催する、鹿の解体を学ぶ教室。雪の降る広河原で行われた。

 

—菊地さんはご自身で捕られた鹿肉をご家庭で調理されていると伺いました。

 

菊地 はい。我が家では牛肉や豚肉と同じように鹿肉が食卓に並びます。家が山の中にあり、周りに鹿がたくさんいるので「自分で捕れたらいいな」と思い、2010年に狩猟免許を取得しました。

 

—出町市場Um!当日は、罠づくりの実演もしていただけるとか。

 

菊地 僕は罠猟専門なんです。鉄砲は所持の許可が必要だし、家に子どもがいるから怖いですしね。鉄砲はグループで時間をかけて山に入っていきますが、罠は時間があるときに仕掛けておけばいい。僕は仕事があったり子育てがあったりするので、罠猟の方が自分の生活スタイルに合っているんです。

罠は家から車で5分以内の距離に仕掛けています。朝、獲物が罠にかかっていないか見回りに行って、捕れていたら急いで内蔵を取り出し、家の目の前にある川につけます。そこから出勤するので、解体するのは時間がある休日になりますね。

 

—朝、猟を終えてから出勤する……そんな生活スタイルの公務員、聞いたことがありません! 獲物を川につけておくのはなぜですか?

 

菊地 京都在住の千松信也さんという有名な猟師さんがいるのですが、その方がブログで獲物についたダニを取るために大きな水槽に数日つけておくと言っていたのでやってみました。僕の場合、家の前にきれいな川があるので水槽がいらなかったんですよね。皆さん狩猟というと、イノシシに突っ込まれたりといった危険性を想象するかもしれませんが、それよりもダニによる感染症などの見えないリスクの方が怖い。猟師はそのリスクを避けるために色々な工夫をしています。

 

—鹿肉を使って、どのような調理を家庭でされているのですか。

 

菊地 塩と一緒に冷蔵庫に寝かせておいて燻製にしたり、洋風だとバターやオリーブオイルでじっくり焼いたり。肉なので「この料理ではないと使えない」というのはなくて、火加減だけ気をつけたらどんな料理にも使えます。私は狩猟を料理の延長線上にあると思っています。食べるために、自分で捕る。

 

—地域の方も、鹿肉を工夫して食べていますか。

 

菊地 食べておらず、捨てていると思います。私が住んでいる広河原地域では罠猟をしている人がもう一人いますが、獣害対策という意識でやっているので料理はしていないですね。鹿肉がたくさん捕れるから田舎の人は鹿肉の調理が上手いと思いがちですが、全然そんなことない。田舎の人だけでなく、日本人は肉の調理が下手だと思うんですよ。一方、西洋や中国の人は捕れてどのくらい熟成させたら肉がどのような状態になるのかなど肉の扱い方の基礎がある。いま、鹿肉のレシピがたくさんありますが、レシピよりは科学的に「これをしたら肉はこうなる」というのがわかったら鹿肉で何でも料理できるようになるのではないでしょうか。日本のスーパーって、ブロック肉ってあまりないでしょう。細切ればかり。自分で狩猟するとブロック肉が自由に使えるので、料理の幅が広がりますよ。

 

—ありがとうございました!

 

OKU京都ねっと

https://www.facebook.com/okukyoto

 

(テキスト:川上ひろこ)


2015-06-15 | Posted in インタビューComments Closed 

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